○中芸広域連合火災調査規程
平成14年4月1日
規程第3号
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 本調査は、火災の原因及び火災により受けた損害を明らかにして火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設若しくはこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 建物火災
ア 「建物火災」とは、建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
イ 「建物」とは、土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物に設けた事務所、店舗、興業場、倉庫その他これらに類する施設をいい、貯蔵槽その他これに類する施設を除く。
ウ 「収容物」とは、原則として柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物をいう。
(3) 林野火災
ア 「林野火災」とは、森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。
イ 「森林」とは、木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹並びにこれらの土地以外で木竹の集団的な生育に供される土地をいい、主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。
ウ 「原野」とは、雑草、灌木類が自然に生育している土地で人が利用しないものをいう。
エ 「牧野」とは、主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。
(4) 車両火災
「車両火災」とは、次に区分する自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。
ア 「自動車車両」とは、イの鉄道車両以外の車両で、原動機によって運行することができる車両をいう。
イ 「鉄道車両」とは、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)における旅客、貨物の運送を行うための車両又はこれに類する車両をいう。
(5) 船舶火災
ア 「船舶火災」とは、船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
イ 「船舶」とは、独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。
(6) 航空機火災
ア 「航空機火災」とは、航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
イ 「航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船等の機器をいう。
(7) その他の火災
(8) 爆発
ア 「爆発」とは、人の意図に反して発生し、又は拡大した爆発現象をいう。
イ 「爆発現象」とは、化学的変化による爆発の1つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱とを発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。
(9) 発火源 出火に直接関係し、又はそれ自体から出火したものをいう。
(10) 経過 出火に関係した現象、状態又は行為をいう。
(11) 損害額
ア 「火災損害」とは、火災によって受けた直接的な損害をいい、消火のために要した経費、焼け跡整理費、り災のための休業による損失等の間接的な損害を除く。
イ 火災損害は、焼き損害、消火損害又は爆発損害に区分する。
(ア) 「焼き損害」とは、火災によって焼けた物及び熱によって破損した物等の損害をいう。
(イ) 「消火損害」とは、消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害をいう。
(ウ) 「爆発損害」とは、爆発現象の破壊作用により受けた損害のうち、焼き損害、消火損害以外の損害をいう。
(12) 判定 火災原因の判定は、断定、推定、不明に区分する。
ア 「断定」とは、各資料の証明力を総合することにより、全く疑う余地がなく、極めて具体的かつ科学的にその原因が決定されるものをいう。
イ 「推定」とは、各資料の証明力のみによっては、その原因を直接判定することはできないが、当該資料を基礎とし専門的立場から見て、合理的にその原因が推測できるものをいう。
ウ 「不明」とは、原因を決定する資料が全くないとき又は若干の資料があっても、それらの資料の証明力が極めて少なく、専門的立場から見てもその原因が合理的に判断できないものをいう。
(13) 管轄区域 安田町、田野町、奈半利町、北川村及び馬路村をいう。
(調査の区分)
第4条 調査は、火災原因調査(以下「原因調査」という。)及び火災損害調査(以下「損害調査」という。)に区分する。
2 原因調査は、次の各号に掲げる事項を究明するために行うものとする。
(1) 出火前の状況
(2) 出火原因
(3) 延焼拡大の状況
(4) 初期消火等の状況
(5) 避難の状況
(6) 消防用設備等の状況
(7) 死傷者の状況
(8) その他必要な事項
3 損害調査は、次の各号に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。
(1) 焼き損害
(2) 消火損害
(3) 爆発損害
(4) 火災による死傷者
(調査責任)
第5条 消防長又は消防署長(以下「署長」という。)は、管轄区域内の調査の責任を有する。
(体制の確立)
第6条 消防長又は署長は、調査に必要な人員及び調査用器材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。
2 消防長又は署長は、火災の形態により調査を機動的かつ効果的に実施するため特に必要があると認められるときは、調査本部を設置することができる。
3 前項の調査本部の組織、編成等についての必要な事項は、別に定める。
(調査の実施)
第7条 消防長又は署長は、管轄区域内に火災を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。
2 消防長又は署長は、調査員を指定して調査に従事させるものとする。
3 消防長又は署長は、必要があるときは、前項の調査員以外の職員を調査に協力させるものとする。
(調査員の心得)
第8条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員は、調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。
(2) 調査員は、調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないように努めるとともに、個人の自由及び権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならない。
(3) 調査員は、関係のある場所へ立ち入るときは、原則として関係者の立ち会いを得ること。
(4) 警察機関その他の関係機関とは密接な連絡をとり、相互に協力して調査を進めること。
(調査の原則)
第9条 調査は、事実の確認を主眼とし、先入観念にとらわれることなく科学的な方法による確認及び合理的な判断の上に立ち事実の立証に努めなければならない。
(火災現場の見分)
第10条 消防隊員及び調査員は、火災現場に出向いたときは、消火活動中における火煙の色、臭い、燃焼音、延焼経路その他関係者の言動等を見聞したときは、現場指揮者に報告しなければならない。
2 調査員は、火災現場を見分し、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。この場合、原則として関係者の立ち会いのもとに行う。
3 火災状況の見分は、その内容を明確にするため、写真により記録するよう努めなければならない。
4 調査員は、実況見分、関係者に対する質問等による事実等に基づき現場の復元を行うよう努めなければならない。
(現場の保存)
第11条 消防長又は署長は、消火活動が終了したときは、所要の措置を講じた上で現場を保存しなければならない。ただし、調査上その必要がないと認めたときは、この限りでない。
(焼死者等の取扱い)
第12条 消防長又は署長は、火災現場において焼死者その他変死者を発見したときは、所轄警察署長に通報するとともに、現場保存に努めなければならない。
(質問)
第13条 調査員は、関係者に質問し、原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。この場合、原則として少年(少年法(昭和23年法律第168号)に定める少年)に質問するときは、保護者等の立ち会いのもとに行わなければならない。
3 前項の規定により作成した質問調書は、被質問者に閲覧又は読み聞かせ、記載事項に誤りがないことを確認し、質問調書に署名を求めるものとする。ただし、被質問者が署名を拒否したときは、強要することなくその旨を記載しておくものとする。
(照会)
第14条 消防長又は署長は、法第32条第2項の規定に基づき、官公署に対し通報を求める場合は、火災調査関係事項照会書(様式第2号)により行うものとする。
(資料の提出)
第15条 消防長又は署長は、調査のために必要と認めるときは、関係者に対し資料の任意提出を求めることができる。
(資料の返還)
第17条 調査が完了した資料について、保管の必要がなくなったときは、提出者に対し資料保管書と引き換えに返還しなければならない。ただし、保管資料で返還希望のないものについては、適宜処分するものとする。
(鑑定)
第18条 消防長は、原因調査に必要があるときは、鑑定依頼書(様式第8号)により官公署又は学識経験者に鑑定を依頼することができる。
(1) 火災調査書 (様式第11号)
(2) 火災原因判定書 (様式第12号)
(3) 火災出場時における見分調書 (様式第13号)
(4) 実況見分調書 (様式第14号)
(5) 火災現場写真及び復元図
(6) 質問調書
(7) 鑑定結果書
(8) 防火管理等調査書 (様式第15号)
(9) 損害調査書 (様式第16号)
(10) その他火災原因の判定、損害額の認定の根拠となった資料等
(原因の判定)
第20条 火災原因の判定は、火災の実況見分、質問その他の関係資料等を総合的に検討し、判定するものとし、物的調査、人的調査による資料により裏付けるものとする。
(即報)
第21条 署長は、火災の状況についてその概況を消防長に即報しなければならない。
(報告及び通報等)
第22条 署長は、調査員より提出された火災調査報告書を受理したときは、消防長に調査を完了した旨報告しなければならない。
2 消防長又は署長は、必要があると認めるときは、原因調査により判明した出火原因の関係者に対し、出火防止対策等の必要な事項について通知することができる。
3 消防長又は署長は、原因調査に関し裁判所等から証人及び参考人として呼出し等があったときは、その内容に応じて調査員等を指定された日時、場所に出頭させなければならない。
4 調査員は、原因調査の結果、出火原因について緊急に対応する必要があると認めるときは、直ちに消防長又は署長に報告するとともに、各担当者に必要な措置を講じるように通報しなければならない。
5 調査員は、原因調査中において、消防関係法令等に違反又は違反の疑いがある事実を認めたときは、消防長又は署長に報告するとともに、違反処理担当者に通報しなければならない。
6 消防長又は署長は、原因調査の結果、放火又は失火の犯罪があると認められるときは、所轄の警察機関に通報しなければならない。
(損害調査)
第23条 損害調査は、り災物件を詳細に調査し、損害の把握に努めなければならない。
2 損害額の算定基準は、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号)の別表第4によるものとする。
3 前項により損害額を決定したときは、損害調査書を作成しなければならない。
(調査書類の省略)
第24条 消防長又は署長は、火災の規模及び被害程度が軽易なものにあっては、調査書類の一部を省略することができる。
(り災申告書)
第25条 消防長又は署長は、損害額決定のための資料として、り災物件の関係者に対し、り災申告書(様式第17号)の提出を求めるものとする。
2 前項の証明をしたときは、中芸広域連合手数料徴収条例(平成10年条例第29号)に基づき、手数料を徴収するものとする。
(書類の保存)
第27条 調査書は、中芸広域連合文書保存規程(平成10年規程第4号)に基づき、保存するものとする。
(委任)
第28条 この規程の施行について必要な事項は、別に定める。
附則
この規程は、平成14年4月1日から施行する。